全省庁統一資格とは
全省庁統一資格は、日本の中央政府による物品と役務の調達に参加するための供給者資格です。申請は一度だけで、選んだ地域において、掲載されているすべての省庁で有効です。現在の有効期間は2028年3月31日までで、申請は2028年3月10日まで随時受け付けています。
建設工事は対象外です。 公共工事には、各省庁ごとの別の資格と、日本の建設業許可が必要です。
ステップ1:資格の種類と地域を選ぶ
資格の種類は四つあります。
| 種類 | 対象 |
|---|---|
| 物品の製造 | 政府向けの物品の製造(27の営業品目) |
| 物品の販売 | 物品の販売(同じ27の営業品目) |
| 役務の提供等 | 15の営業品目に分かれた役務。情報処理、ソフトウェア開発、翻訳、調査研究など |
| 物品の買受け | 国からの物品の買受け |
8つの地域から、複数を選ぶことができます。次の点に注意してください。
- 資格は法人ごとにひとつなので、支店は本社の名義で申請します。
- 共同企業体(JV)は申請できません。
- 非居住者の個人事業主も、原則として申請できません。
ステップ2:申請書類を準備して提出する
申請方法:
- オンライン:調達ポータルから申請します。新規の申請者は**「ログインせずに申請」**を使う必要があります。申請書はオンラインで提出し、添付書類は書留郵便で送ることができます。
- 紙:郵送または持参で、所定のA4判7ページの申請書のみを使って申請します。
- 動作環境: オンラインシステムはWindows 11とEdgeまたはChromeが必要で、macOSには対応していません。
- 申請は一件だけ。 申請先はひとつの窓口に限られ、重複した申請は受け付けられません。
外国の本社が申請する場合の書類:
- 本国の当局が発行した、会社の存在を証明する書類。日本に支店がある場合は、代わりに3か月以内に発行されたその登記事項証明書を使います。
- 本国の納税に関する書類。存在しない場合は省略できます。
- 資本金と純資産がわかる単体(連結ではない)の財務諸表一年分。直近二年間の売上高も入力し、その平均が使われるため、両方を添付します。
- 上記すべての原本と日本語訳。
- 代理人が申請する場合は委任状。
あわせて、反社会的勢力と関係がないことの誓約と、全役員の氏名、性別、生年月日の一覧を提出します。押印や署名は不要で、氏名や住所は英語またはカタカナで入力できます。
登記済みの日本支店が申請する場合は、日本企業と同じ書類を、支店自身の登記事項証明書、納税証明書、財務諸表で提出します。
通貨。 金額は、申請日の財務省の換算レートで円に換算します。レートは毎年4月1日に改定されます。2026年4月1日からのレートは次のとおりです。
| 通貨 | 円 |
|---|---|
| 米ドル | 149円 |
| ユーロ | 166円 |
| 英ポンド | 195円 |
| スイス・フラン | 177円 |
| カナダ・ドル | 107円 |
| オーストラリア・ドル | 96円 |
| シンガポール・ドル | 114円 |
| UAEディルハム | 41円 |
| 中国人民元 | 21円 |
| 100インド・ルピー | 173円 |
| 100韓国ウォン | 11円 |
金額は1,000円単位で入力します。
採点の仕組み
満点は100点です。点数が二つ示されている項目は、前が製造、後が販売と役務の提供の点数です。
| 審査項目 | 点数 |
|---|---|
| 年間平均売上高(直近二年間) | 10/15点(2,500万円未満)から60/65点(200億円以上)まで。たとえば10億〜25億円は40/45点、50億〜100億円は50/55点です。 |
| 自己資本額(純資産) | 2/3点(100万円未満)から10/15点(10億円以上)まで |
| 流動比率 | 4点(100%未満)から10点(140%以上)まで |
| 営業年数 | 3/6点(10年未満)から5/10点(20年以上)まで |
| 設備の額(製造のみ、土地・建物を除く) | 3点(1,000万円未満)から15点(10億円以上)まで |
販売と役務の提供の等級:
| 等級 | 点数 | 契約金額 |
|---|---|---|
| A | 90点以上 | 3,000万円以上 |
| B | 80〜89点 | 1,500万〜3,000万円 |
| C | 55〜79点 | 300万〜1,500万円 |
| D | 55点未満 | 300万円未満 |
製造の等級も点数の区分は同じで、B等級が2,000万〜3,000万円、C等級が400万〜2,000万円を対象とします。発注機関は他の等級の参加を認めることができ、多くの公告ではAからDまでの参加を認めています。
例: 平均売上高60億円(55点)、自己資本額12億円(15点)、流動比率150%(10点)、営業年数25年(10点)の役務の会社は90点となり、A等級です。
財務諸表は必ず提出してください。 提出しないと財務関係の項目の得点がゼロとなり、D等級になります。
ステップ3:審査結果を待つ
- 期間: 審査結果の通知(資格審査結果通知書)は、審査担当の機関での審査が終わり、書類がヘルプデスクに届いてから約一週間で郵送されるのが一般的です。定期審査の受付期間の直後は、数か月かかることもあります。
- 送付先: 通知は普通郵便で、日本国内の住所にのみ送られます。日本に事務所がない場合は、委任状を持つ代理人を通じて申請し、代理人の住所を使います。
- 公開名簿: 資格を持つ供給者は、業者コード、住所、等級とともに調達ポータルに掲載されます。
資格は付与された時点で効力が生じるため、早めに申請してください。WTO協定の対象となる入札では、申請中に提出した入札も、開札の時点までに資格を得ていれば受理されなければなりません。
ステップ4:電子入札の準備をする
調達ポータルでの電子入札には、認められた日本の認証局が発行する電子証明書が必要です。
- NTT西日本 e-Probatio
- 三菱電機 DIACERT-PLUS
- セコム パスポート for G-ID
- 法務局の商業登記電子証明書
- 日本電子認証
- TOiNX
- マイナンバーカード(個人事業主と登録された代理人向け)
帝国データバンクは2026年6月12日に新規の証明書の発行を終了しました。
日本で登記していない外国企業にとって、ここが本当の壁です。 商業登記電子証明書には日本の登記が必要で、セコムなどの民間認証局は、日本の住民票や印鑑登録証明書を求めます。一般的な方法は次のとおりです。
- 日本の支店または子会社を置く。
- 電子委任状で登録された代理人を使う。 代理人が代わりに入札できます。
- 紙で入札する。 多くの公告では、電子入札ができない入札者に紙での入札を認めています。
日本の法人向けログインであるGビズIDには、日本の法人番号が必要です。2026年3月20日から、GビズIDで少額のオープンカウンター方式の調達(300万円未満の物品、200万円未満の役務)に、資格や電子証明書なしで見積りを提出できるようになりました。
ステップ5:案件を探して公告を読む
探す場所:
- 調達ポータル: ログインせずに検索できます。英語の検索ページもありますが、公告は日本語です。WTO協定の対象となる公告には、末尾に英語の概要が付きます。
- 官報: WTO協定の対象となる公告を掲載する公式の刊行物です。直近90日分はオンラインで無料で閲覧できます。
- ジェトロの政府調達データベース: 官報掲載の公告の英語概要で、通常は翌営業日までに掲載されます。
公告(入札公告)からわかること:
- 件名、数量、納入場所、納入期限。
- 最低価格落札方式か総合評価落札方式か。
- 電子入札を使うか、紙による入札も認めるか。
- 必要な資格の種類と等級。
- 入札説明書の入手先。
- 提案書等の提出期限、入札の締切、開札日。
- 言語と通貨(日本語と円)。
- 入札保証金と契約保証金が免除されるかどうか(通常は免除)。
二つの落とし穴。 英語概要の「time-limit for tender」は、入札の締切ではなく提案書等の提出期限のことがあるため、日本語の本文で確認してください。また入札金額は、自社の課税上の立場にかかわらず、通常は税抜き(100/110)で記入します。
大型調達の前に。 約1.6億円以上(800,000 SDR)の調達では、発注機関は公告の少なくとも30日前に仕様書案を公表して意見を求め、少なくとも20日間の意見提出期間を設けます。仕様に意見を反映させるチャンスです。
入札期間: WTO協定の対象となる入札では少なくとも40日で、公告、入札説明書、入札が電子化されていれば、法令上は25日まで短縮できます。日本の自主的な目安は50日ですが、実際の公告ではそれより短いことがよくあります。
ステップ6:入札する
- 入札書: 会社名、資格審査結果通知書に記載された業者コード、件名、税抜きの総額を記入します。代理人が入札する場合は、委任状と代理人の氏名を添えます。
- 入札保証金は法令上5%以上、契約保証金は10%以上ですが、有資格者についてはどちらも通常免除されます。
- 予定価格は開札まで秘密です。予定価格の範囲内の入札がない場合はその場で再度入札を行い、それでも決まらない場合は、発注機関が随意契約の交渉をすることがあります。
- 原則として最低価格の入札者が落札します。 総合評価落札方式では品質も評価されます。
- 極端に低い入札: 1,000万円を超える役務と製造の契約では、調査の対象となります。価格、原価、人員体制を説明しなければならず、説明できなければ落札できないことがあります。
ステップ7:落札後
- 契約: 日本語・円建ての書面で契約します。250万円以下(海外で締結する場合は350万円以下)の契約では契約書の作成を省略でき、電子署名による締結も可能です。
- 検査は、完了の通知から10日以内に行われます。
- 支払いは、検査後の適正な請求書を受け取ってから30日以内(工事は40日以内)で、遅れた場合は年**3.0%**の遅延利息が付きます。
- 請求: 調達ポータルは電子請求に対応していますが、使うかどうかは各機関が決めます。
実務のヒント
- 代理人を使う。 行政書士などの代理人が委任状により申請を代行でき、審査結果の受け取りに必要な日本国内の住所も確保できます。
- 最も手間の少ない方法は、すでに資格と電子入札用の電子証明書を持つ日本の販売代理店や子会社を通じることです。日本支店は、支店自身の財務諸表で資格を取得できます。
- 公証: 申請に公証やアポスティーユが必要だという規定は見当たりませんでした。求められるのは原本と日本語訳だけです。
- 建設工事は別ルート: 各省庁の資格と日本の建設業許可が必要です。
2025〜2026年の主な変更点
- 2025年1月: 公告、入札説明書、入札が電子化されている場合、WTO協定の対象となる入札期間を40日から25日まで短縮できるようになりました。
- 2025年4月: 少額契約の上限が引き上げられ、契約書の作成を省略できる上限が250万円に引き上げられ、オンライン版の官報が正本になりました。
- 2025年11月: 申請の手引きの新版が公表されました。
- 2026年3月20日: 少額のオープンカウンター方式の見積りがGビズIDに開放されました。
- 2026年4月1日: 新しい換算レートと新しい調達の基準額が適用されました。
- 2026年6月12日: 帝国データバンクが電子入札用の電子証明書の新規発行を終了しました。
- 2026年6月15日: 調達ポータルでmacOSが動作環境の対象外とされました。
よくある質問
外国企業は海外から全省庁統一資格を申請できますか。
できます。外国の本社は、本国の当局が発行した会社の存在を証明する書類、本国の納税に関する書類(存在しない場合は省略可)、単体の財務諸表一年分を、それぞれ日本語訳を付けて提出すれば申請できます。押印や署名は不要です。ただし審査結果の通知は日本国内の住所にしか郵送されないため、日本に事務所がない会社は委任状を持つ代理人を通じて申請します。
全省庁統一資格の等級はどのように決まりますか。
100点満点で採点されます。過去二年間の平均年間売上高(最大60点または65点)、自己資本額(最大10点または15点)、流動比率(最大10点)、営業年数(最大5点または10点)、製造の場合は設備の額(最大15点)です。物品の販売と役務の提供では、A等級が90点以上(3,000万円以上の契約)、B等級が80〜89点、C等級が55〜79点、D等級が55点未満(300万円未満の契約)です。発注機関は、他の等級の参加を認めることもできます。
財務諸表を提出しないとどうなりますか。
財務関係の項目の得点がゼロとなり、理由を説明する書面を添付しなければなりません。実際にはD等級となり、少額の契約に限られます。単体(連結ではない)の財務諸表を、財務省のレートで円に換算して提出してください。
外国企業は日本で電子入札ができますか。
実際には、日本に拠点か代理人がある場合に限られます。電子入札には、認められた日本の認証局が発行する電子証明書が必要で、その取得には日本の登記か、日本の居住者としての書類が求められます。一般的な方法は、日本の支店か子会社を置くか、電子委任状で登録された代理人を使うことです。多くの公告では紙による入札も認められています。
全省庁統一資格の取得にはどのくらいかかりますか。
審査担当の機関での審査が終わり、書類がヘルプデスクに届いてから約一週間で結果が郵送されるのが一般的ですが、定期審査の受付期間の直後は数か月かかることもあります。資格は付与された時点で効力が生じるため、入札したい時期より十分前に申請してください。WTO協定の対象となる入札では、申請中に提出した入札も、開札の時点までに資格を得ていれば受理されなければなりません。
ごく少額の調達にも全省庁統一資格は必要ですか。
必要ありません。2026年3月20日から、300万円未満の物品と200万円未満の役務のオープンカウンター方式の調達には、法人向けログインのGビズIDだけで見積りを提出でき、資格も電子証明書も不要です。ただし、GビズIDの取得には日本の法人番号が必要です。
出典
- 調達ポータル:全省庁統一資格の公示
- 調達ポータル:全省庁統一資格 申請の手引き(2025年11月)
- 調達ポータル:格付表(別記)
- 調達ポータル:インターネットによる申請
- 調達ポータル:電子入札をはじめる方へ
- 2026年財務省告示第11号:2026年4月1日からの換算レート
- GビズID:よくあるご質問
- 会計法(e-Gov法令検索)
- 予算決算及び会計令(予決令、e-Gov法令検索)
- 国の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(e-Gov法令検索)
- デジタル庁:調達マニュアル(2026年9月)
- ジェトロ:政府調達データベース
このガイドはルールをわかりやすい言葉で説明したもので、法的助言ではありません。調達のルールは変わることがあり、また入札ごとに入札説明書が独自の条件を定めています。常に入札説明書の記載が優先します。
